投稿日:2009-05-11 Mon
![]() | 太平洋戦争 日本の敗因〈1〉日米開戦 勝算なし (角川文庫) (1995/05) NHK取材班 商品詳細を見る |
NHKスペシャル「ドキュメント太平洋戦争」という番組の出版化されたものが本書である。
番組の中で取り上げ切れなかったものを「本」という形に表した。
この当時・・・・平成4~5年頃の・・・・この手のNHKの番組は、まともと言えばまともだった・・・・
が・・・・最近のNHKの番組は全くお話にならない。
意図的に「ある方向へ」導くというやり方が目立つ。
番組出演者の証言も、都合のいいところだけをまとめて編集し、本人が語りたい、伝えたい、残しておきたいという証言でも、この「意図」にそぐわなければカットされてしまっているのが現状である。
制作者の質がかなり低下した・・・・と見て間違いない。
だから、最近の私はNHKのドキュメンタリー番組は一切見ないことにしている。
本書の題名である「日米開戦勝算なし」は、当時、テレビでも見ていて記憶にも残っている。
それだけに読んでいて話はわかりやすい。
きわめてまともな内容なので・・・・心穏やかに読むことができた。(笑)
この当時の制作者はまともな人たちだった・・・・(笑)
そもそも、日本の敗因は、大国アメリカと戦争をするという「暴挙」がいけなかったということを言う人がいるが・・・・果たしてそうだろうか?
ただただ軍国主義のせいにしているが・・・・果たしてそうだろうか?
私には日本人の軽薄さと思慮の浅さが根本原因ではないかと思うのである。
本書でも触れられているが・・・・
資源を獲得するため南方へ進出する。
南方の資源地帯を抑えれば、それで大丈夫・・・・という短絡的な考え方・・・・
肝心なのは、その資源を日本に持ってこなければ何の意味もないということである。
が・・・・その資源を運ぶ輸送船については考えない・・・・
輸送船を造るより軍艦を造って・・・さぁ、戦うぞ!・・・・である。(笑)
おかげで、輸送船の数が少ないから貴重な資源を全部日本に送ることができない。
輸送できなかった分は現地に放置したまま・・・・である。
鉄鉱石、ボーキサイト、原油・・・・資源が日本に少ししか届かないから、飛行機も船もまともに造れない。
そのうち、なけなしの輸送船も次々と撃沈され、更に資源は日本に届かない。
この時点で輸送船を造ろうと思っても、護衛艦の数を増やそうとしても、造るための資源が届かないのだから無理・・・・・
悪循環である。
「エリート」と呼ばれる連中の頭の構造はどうなっていたのか?
軽薄で愚かで思慮浅い・・・・「エリート」と呼ばれる人は、今も昔も変わっていない。(笑)
「国力」とは何か・・・基本的な認識が欠けている。
「経済」というのを考えていない・・・・
輸送の問題、補給の問題を軽視して、ドンパチ戦うことだけしか考えない「戦争計画」は、子供の「戦争ごっこ」と変わらない。
幼稚である・・・・・
資源のない国が戦争をする場合の計画が全くできていなかった。
これでは、負けて当然だ。
1.甘く見た船舶問題
国策を決定した船舶損耗率
緒戦の勝利
海上護衛の思想を欠いた日本海軍
2.破綻した計画
苦悩するアメリカと楽観する日本
アメリカのUボート作戦
太平洋戦争のターニングポイント
3.急落する国力
太平洋の蟻地獄
アメリカの輸送船建造
失敗した占領地経済
4.反撃するアメリカ潜水艦
戦いを制した情報兵器
改善されるアメリカの兵器
物資動員計画の破綻
手遅れだった護衛対策
5.崩れ去る日本経済
絶対国防圏の崩壊
最後の輸送船団
6.飢餓と敗戦と
トドメを刺された日本経済
日本の敗因
今年の読書:23冊目
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