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野牛重兵衛

Author:野牛重兵衛
会社を実質的に自主廃業し『自由人』となる。
自ら『脱藩浪士』と名乗り自由な日々を生きることにした。
常陸国在住
59歳
今もって独身!(笑)
これからも独身!(大笑)

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沈まぬ夕陽
沈まぬ夕陽―満蒙開拓の今を生きる中島多鶴沈まぬ夕陽―満蒙開拓の今を生きる中島多鶴
(2004/03)
中 繁彦

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本書は、中国残留孤児・残留婦人の帰国に生涯を捧げる一人の女性・中島多鶴の物語である。
今まで、本を読んでいて涙が溢れてくるなんてことはまずなかった。
いや、皆無だったと思うが・・・
さすがに、この本を読んでいるうち涙が溢れて来たのには参った。
読まなければよかったかぁ・・・なんでこの本を買ってしまったんだろうと多少後悔した。
話は満蒙開拓団の話だが・・・・悲惨な話である。
主人公の多鶴は、15歳の時に家族そろって満蒙開拓団員として満洲に渡った。
そして終戦となり、家族と離れ離れになり九死に一生を得て一人で帰国。
その間に見たこと、体験したこと・・・・悲惨である。

満蒙開拓団は国策として満洲に送られた。
国策とは国の政策である。
にもかかわらず・・・・国は満蒙開拓団員を見捨てたのである。
親を失った幼い子供達は中国人に拾われて“中国残留孤児”となる。
このころの中国には“売買婚”という古いしきたりがあった。
中国人が金や米を持ってきて、日本人の娘や主婦を買いに来たのである。
一家が餓死するか、中国人の妻となって生き延びるかの選択を迫られる。
そして、中国人の妻となったのが“中国残留婦人”である。

この中には考えられないような悲惨な話もある。
自分の夫を義理の兄弟ということにして中国人と結婚した日本人女性。
これで、とりあえず餓死しなくて済んだが、一つの屋根の下に“日本人の夫”と“中国人の夫”と一緒に住むことになる。
で・・・“中国人の夫”との間に子供が生まれ・・・・
平和な時代になり“日本人の夫”は一人で日本に帰国を果たす。
この「日本人夫婦」の苦しみはいかばかりであったろうか・・・・

「運命に翻弄され・・・」という言葉があるが・・・
満蒙開拓団の場合、本当に「運命」という言葉で済ませていいのだろうか?
国策である・・・・

一人で無事に帰国した中島多鶴は、これら残留孤児や残留婦人の帰国のために奔走するが、そうそう簡単な話ではない。
本人にとっては日本は故郷でも、その家族にとっては中国が故郷である。
家族を残して自分だけ日本に帰国するというわけにもいかない。
家族を連れて日本に来ては、子や孫などの家族から中国という故郷を奪うことになる。
日本語が話せない“残留孤児”・・・・・
自分が日本人か中国人かわからない・・・・
日本に住んでいる親戚は受け入れてはくれない。

満蒙開拓団員の“不幸”は終戦時だけではない。
戦後も延々と引き継がれていくのである。
子、孫、ひ孫・・・・
あ~なんたることぞ・・・・

中国へ進出する日本企業に対し、拙者は「第二の満蒙開拓団になる可能性がある」と言い続けてきた。
しかし、ほとんどの人は、この「満蒙開拓団」という言葉を知らない。
この歴史を知った上で進出するならまだいいが・・・・
何も知らず、安易な考えで行くべきではないと思うのである。
当時の状況とは必ずしも同じではないので、必ず同じことが起こるとは限らないが・・・
“王道楽土”を夢見て満洲へ向った開拓団員と、たいして変わらないのではないか?
国策とまでは言えないかもしれないが、政府機関、地方行政機関が日本企業の中国進出を斡旋しているのは、当時と似ているではないか・・・・
中国進出を煽るマスコミも、当時の風潮と似ているではないか?
そして・・・その結果の責任は誰が取ったか・・・・
誰も取っていないのである。

歴史を勉強するべきだ。
そのためにも本書は好著である。

「財産をなすのも失うのもただ一言で十分だ」とは、紀元前のギリシャの詩人であるソフォクレスの言葉である。
この場合・・・「王道楽土」の一言で失ったと言えるかも・・・・



今年の読書:9冊目

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読書 | 13:20:01 | Comments(1)
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2009-02-18 水 23:30:02 | | [編集]
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